秋山中将の資料、土木学会図書館へ

『技術中将の日米戦争−陸軍の俊才テクノクラート秋山徳三 郎』を著述している過程で、陸軍工兵中佐だった秋山が、関 東軍特務部部員として満州国(現在の中国東北部)に滞在し ており、満州国国道局顧問を兼務して、同国建国期の国道建 設の写真を多数残していたことを知りました。 国道建設の陣頭指揮に立った軍人ならでは残せなかった非常 に貴重な写真が多く、何かの研究に役立たせてほしいという ご遺族の希望もあって、昨年(2007年9月)土木学会附属 土木図書館に寄贈しました。同館で整理し、写真のデジタル 処理が進められて、この度、デジタルアーカイブス−土木貴 重写真コレクションの中で、『満州国建国初期の道路建設− 秋山徳三郎旧蔵写真集−』として公開されました。
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デジタル処理によって、70数年前のものとは思えない200枚 をこえる写真が再生され、当時の道路工事の様子、とくに当 時まだ国内では見ることのできなかった建設機械の使用状況 をうかがい知ることが出来る貴重な資料となっています。そ れだけではなく、いたるところで満州の原風景が見られ、同 時に満州の広大な国土、とうとうと流れる大河の様子なども 知れ、道路建設という技術面からはなれて、一般の風景写真 としても楽しめるものとなっています。
秋山が満州に滞在したのは昭和8年、その当時の言い方をす るならば、満州国という新生国家の建設、あるいは楽土建設 という美名のもとに、日本内地から満州へ渡った土木技術者 の数は1,000名をこえたといわれています。秋山も、おそら く軍人という立場をはなれて、一技術者として満州の建国に 情熱を傾けたのではないでしょうか。

秋山の残した写真類が土木学会付属土木図書館のサイトで一 般公開されたことは、彼の地元である兵庫県丹波市の丹波新 聞2008年(平成20年)8月10日(日)の紙面で数葉の
写真とともに大きく報道され、地元では大きな関心を呼んだよ うです。
(平成20年 9月)

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