UTIONについて

現在使用中のパソコン

皆さん、UTION(ユーション)という言葉をご存知でしょうか。Uは口語で「上流階級の人が使う語句」の意、TIONは「その状態・動作を示す名詞語尾」ですから、その結合語として「上流階級が用いることば」という意味にでもなるでしょうか。おそらく、この言葉をご存知の方はいらっしゃらないと思います。なぜそう断言できるかと言えば、じつはこの言葉、わたしの造語だからです。ちょっとばかにしたような書き出しになってしまい、失礼の段、お許し願いたいと思います。
それではこのUTIONという言葉(?)、どこから出てきたかと言いますと、じつはわたしのパソコンのことから派生したのです。わたしのパソコン、2010年12月購入のNECのウィンドウズ7対応のものですが、これを古いタイプというべきなのかどうか、PCに弱いわたしにははっきりしたことは言えないのですが、たしかに6年半も使っていますと、新しいとは言えないこと、これは事実です。PC関連の雑誌などを見ますと、「機械としてはまだ使えるが、大方のユーザーは5年ほどで買い換える」そうで、買い換えのきっかけは基本ソフトのウィンドウズが新しくなったときが多いようです。その点からすれば、6年半も使用し、基本ソフトはすでにウィンドウズ10までいっているわけですから、それでよくガマンしているな、と言われそうです。たしかにスピードは落ちてきていますし、ハードディスクの空き容量も余裕なしになってきており、不安には思っています。しかしわたしの懸念は、むしろパソコンとは別にキーボードにあるため、このような題名にして、このような小文をしたためることにしたのです。

わたしのキーボード

題名のUTIONとは、じつはわたしのキーボードの文字盤のうち、この題名の5文字はもう何年か前から擦り減ってしまい、完全に消えてしまっているのです。いつ頃のことだったか、はっきりした記憶はありませんが、買い換えどきとされている5年目あたりだったかもしれません。まったく文字が見えなくなってしまったので、ブラインド・タッチができずにピアノの鍵盤を ぽつんポツンとたたくだけのガラ系のわたしとしては、途方にくれました。はじめのうちはカンに頼っていましたが、UIOそれにNMはキーボードの文字盤が並んでいますので、つい打ち損じてとんでもない文章になってしまったものです。仕方なしに、ラベルシールからその5文字をプリントアウトして、文字盤に合わせて切り取り、それを盤に貼り付けて使用しています。うすいマット紙ですから摩耗がはげしく、もう6、7回ちかく貼り替えています。ざっと計算してみても、3月ほどで摩耗していることになります。それだけキーをたたいていることになるのでしょう。わたしは、日常のメールのやりとりはそれほど多くなく、平均すればせいぜい日に2,3通ていど、メールですから字数も多くなく、月に3〜4万字ぐらいでしょうか。ただしわたしの場合、毎月ニュースレターを配信し、同時にウェブサイトのトピックに雑文を載せていますので、表向きの字数はざっと6000字、その関係のメールの遣り取りを加えて1万字以上にはなるでしょう。表向きと言ったのは、最終の文だけのことで、実際にはそこにいたるまで最低でも数日は要し、その間の推敲する回数たるや計算できないほど、だと言えます。結局、なんだかんだと月に7〜8万字ぐらいの文字をたたいているのかも知れません。仕事をやめているいま、英文はほとんどありませんから、日本文を作成するだけと考えた場合、ローマ字で入力してから漢字や平仮名に変換するためにたたく数は3倍ぐらいになることを考えれば、文字盤の文字が消えてしまうのもとうぜんかも知れません。

ラベルシールで作成したローマ字

そこでUTIONのことです。文字盤の文字が消えたわけですから、この文字に関しては、それだけたたいた頻度が多い、すなわち使用頻度が高いことになります。たとえば英語を例にとった場合、この5文字が使われる単語数は決して多くはありません。辞書を見てみれば、Tが若干多いぐらいで、S、C、P、あるいはBといった文字ではじまる言葉のほうがはるかに多いことがわかります。ただし、いうまでもありませんが、日本語の文章を作成する上では、先に述べたように、入力の時点ではローマ字でも、それが日本文に変換されるわけですから、文字盤をたたく回数となると、当然のことながら、日本語として数えなければならないでしょう。そうなると、日本語の一大特徴である、「単語に母音が伴う」ということを勘案しなければなりません。5文字の中にI(イ)、U(ウ)、O(オ)という3文字の母音が含まれていることが肯けます。そうなると他のA(ア)とE(エ)が入っていない点に疑問がわきますが、A(ア)の場合は、母音5文字から成る「ア行」という一つの独立した行の首座に位置しており、他の母音と重ねての発音はできないためで、その分、言葉が少なくなるのだと思われます。少なくなると言っても、文字盤の文字の削られ具合はMとともにAもはげしく、まだラベルシールで文字をつくる必要はないものの、ともに半分ほどは見えない状況になっています。残りの母音E(エ)については、使われる言葉が少ないのでしょうか、文字盤の状況は良好のままです。つぎに、5文字のうち母音以外のTとNとは何故さほど使用されるのでしょうか。これは「タ行」、「ナ行」の言葉が多いため、につきるでしょう。単に文字数だけの理由ではなく、Tの場合は促音「っ」が加わりますし、Nの場合、パソコンでは日本語の「ん」はNの重ね打ちですから、とうぜんたたく回数は多くなる道理です。また、A、Mの磨耗がはげしく、まだ文字は残っているものの、だいぶ薄れてきていると記しましたが、同様の文字としてKとGとが挙げられます。ともに「カ行」とその濁音ですから、日本語の文字としては多い部類であり納得できます。ただし、「カ行」より言語数の多い「サ行」については、Sの摩耗がほとんどないのですが、なぜたたく頻度が多くないのか、納得できる説明は、いまのところできないでおります。以上のことをまとめますと、わたしのキーボード上のアルファベットのうち、文字が完全に消えてしまい、ラベルを貼ることで対応しているのが、U、T、I,O、Nの5文字、まだラベルを貼るまでの必要はないまでも、かなり文字がすり減ってきているのが、A、M、K、Gの4文字、そして、アルファベット26文字のうち、まだしっかりと残っているのが、のこり17文字ということになります。

拡大したキーボード

パソコン・キーボードの文字配列は、世界的に見て何種類かあるようです。もっとも一般的なものは、47のメインキー文字のうちアルファベット配列最上段の左からQ、W、E、R、T、Yと配列されている英字QWERTY配列でしょう。他にドイツ語圏、フランス語圏は別の配列があるようですが、中国・漢字入力、ハングル文字入力などは、基本的にはQWERTY配列だそうです。QWERTY配列であるわたしのキーボードは、くり返しになりますが、UTIONをはじめ、ほかの数文字の磨耗が激しく、UTIONの5文字はラベル貼りで対応している有様です。この状況はあくまでもわたし個人も問題であり、同じ日本人でも、誰もが経験しているわけではないでしょう。ましてや、言語がまったく異なる他国人にはまったく当てはまらず、あるいは別の問題をかかえているのかも知れません。したがって、わたしが難儀しているからと言って、メーカーになんとかしてくれ、と持ち込むようなことは毛頭考えていません。ただ、そのような問題をかかえるユーザーがいることの提起ぐらいはさせてほしいと思っています。さらに言えば、磨耗して消えてしまった文字盤への対応策として、簡単に貼り付けるラベルとか、あるいは簡単に交換できる代えの文字盤などの販売を考えてみては、と提起したいと考えています。もっとも、そのように提起しても、メーカーからはとても商業ベースにはのらないと苦笑いされるでしょうし、ムリしてそんなことをするより、文字盤が消えてしまったら新しいパソコンを購入してくださいと言われるのが関の山でしょうね。いや、パソコンを買わなくても、いまは安価なキーボードを買えば済むようセパレートタイプが販売されています、とまさに冷笑されてしまうかもしれません。ここまで書いてきて、考えてみれば、わたしもずいぶん無駄なことに時間を費やしたな、と半ばあきれ果てて、省みております。お恥ずかしいことです。

    

(2017年6月)

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